とある東京チャレンジネット利用者より

あなたは東京チャレンジネット(以下TCネット)をご存知だろうか? 職を失い、住居も不定で、ネットカフェなどを点々としながら日雇いの派遣などで日々を食いつなぐ人びとの為に東京都が行っている支援制度だ。 なんといっても一番の魅力は申し込み、審査に通れば住居が借りられ、介護の資格が得られ、その後半年間、介護職につけばその間の住居の契約金などが一切タダになる(ただし、半年間介護職を勤め切らねば、それまでにかかった費用を借金のように返さなければならない!!)新宿ハイジアビルの3Fで行っている。
私はこの制度に実際に申し込んでみた。―確かに本当に1ヶ月で介護職員初任者研修の資格を取得できた。―ふつうは介護職につくには実務演習も含め3ヶ月程度は修学期間が必要とされるが、このTCネットではたったの1ヶ月で資格をもらえる。その後、私の場合1ヶ月以上、就職活動に時間を要した。その間の生活費もTCネットが負担してくれる。(その後6ヶ月介護職につかないと返済しなければならないが。) ―――しかしここで私は不気味極まる体験をする事になる。以下はその詳細だ。
TCネットの審査に受かり、介護の資格を得るためには新宿ハイジアに通わなければならない。まず、一時的借家に住む事になる。この一時住宅の費用は月一万五千円。支払わなければならないが、審査に受かった時点で計45万円を借りる事ができ(一括ではない。一括だとトンズラする輩が居るからだろう。週に一回、分割して貰える。)月一万五千円家賃は借りた生活費から払えばよい。
この一時住宅、私の場合、N区内の2階建てのごく普通のアパート(ワンルーム、ユニットバス、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ完備)に住まわされた。 まず、ここで奇妙なのは入居者に配られる注意事項のプリントだ。
「入居者以外の人物を一切、部屋に入れてはならない」そう書いてある。どういう事だろうか?ハイジアで一緒に介護を勉強している仲間を部屋に招くのも禁止。元からいる友達や彼女を招き入れる事も禁止。自分以外、一切部屋に入れてはならない規則となる。――そして不気味なのはもう一点。「入居者の生存確認のため、TCネット職員が入室、点検する事がある」つまり私が留守中、TCネットの職員にカギを開けられ、部屋に入られる事がある、というのだ。その理由を、「生存確認のため」とあるが、ほぼ口実だろう。つまりは、TCネットは、この制度を利用しにくる者を信用しない、という事だろうか。
部屋にテレビが設置されている。見た事のないメーカーだ。「ORION」そう書いてある。私はもしかしてと思い、監視カメラ機器に詳しい知人に問い合わせてみた。
「一般的に売れる型番ではない。刑務所などの囚人施設で大量支給されている。モニターに監視カメラを仕込む事ができ、室内の囚人を24時間監視できる」というのだ。
制度利用者しか入室させてはいけない部屋、刑務所などで設置されているテレビ、このTCネットを利用する者は、そこまで厳重に管理されなければならないのか。
そうこうする内にも新宿ハイジアに資格取得のため通う1ヶ月は過ぎ、初任者の資格を得る事はできた。私の場合はその後1ヶ月以上、就活に時間を要した。そして就職が決まれば、この一時住宅を出る事になる。怪しいテレビが設置された不自由な部屋ともおさらばだ。
ここで晴れて、TCネットが連携している不動産業者から、新しく住む住居を選択できる。が、条件がある。40万以下で契約できる物件、そして、あくまでTCネットが提携している物件でなければならない、という事だ。
私の場合、都内にある家賃六万以下、契約金25万程度のワンルームマンションに決まった。オートロックでエアコン、ミニ冷蔵庫、ユニットバス、アイエイチキッチンが付いている、見た目はごくごく普通のワンルームだ。―――しかしここで、私は決定的に奇妙な体験をする事になる。
電気のメーターが回っている。使っていないのに!
しかも大量の家電を使っているかのような速度で
だ。
おかしい!おかしい!そのまま放っておけば高額の電気代が請求される事は必至の回りかただ。慌てて東京電力に電話する。数時間後、東電の職員が来た。もしものためにI.C.レコーダーを回す。会話を録音するためだ。――東電の職員が聞く。「今月から電気料金が高くなったりしたか?」いや、ない。なぜならまだ住み始めたばかりだ。請求はこれからだ。まだ引っ越しをしてから2週間ほど、念のため、今日までに消費した電気の量を算出して貰う。「一般的な家庭の平均使用量とほぼ同じ」それはありえない!なぜなら入居からの2週間、私は引っ越し代をケチるために家財道具をひとつひとつ電車で手運びしたので、この新居にはまだろくに泊まってもいない。荷物を運んでは前の一時住宅で寝て、を繰り返したため2週間かかっただけだ。まだ天井に電灯も入れていない。ガスも開栓してないのだ。
東電が尋ねる。「ミニ冷蔵庫以外、つねに付けている家電は?」ない。まめに節約する習慣がある私は、使わないジャーなどのコンセントをしっかり抜く節約家だ。まだテレビも買ってはいない。部屋の天井にライトすら付けていないのだ、一体何故、すでに一般家庭とほぼ同じ電気使用量が消費されたのか?―――そして、決定的発言が東電の職員から発せられる。――――「-何らかの自動スイッチオン、オフ機能が付いたものが、設置されている可能性がある」
私が尋ねる。「盗聴機?」東電「の、様なものが有る可能性はある」‥‥‥‥‥‥驚きの発言だ。TCネットを利用して、住まわされた一時住宅、そこを出て晴れて就職のために入った家にも、やはり入居者を監視する様なものが仕掛けられているのだろうか?‥‥‥‥‥‥‥
このTCネットは、職を失って、ネットカフェなどを点々とする人びとを支援するために東京都が主催している事業だ。この制度を利用に来る人びとの中には、破産歴など、他人に言いにくい諸事情をもつ人も多いと聞いた。東京都が、その利用者を慎重に審査する必要があるのはよく分かる。しかし、監視付きの部屋に住ませ、外出時に勝手に部屋に上がり込んで調べあげ、就職のために移った住居にさえ監視のため装置を付けるなどというのは明らかにやり過ぎではないだろうか?そして、その監視に費やした電気代をその部屋の入居者に払わせるというのは、理不尽極まりない処遇だ。まだこのTCネットを利用するか迷っているかたに、この事実を知ってもらいたい。
mixcloudであなたは監られている と検索ください。これが実際の東電職員と私との会話だ。7分から9分区間に注目されたい。